気管支炎に効く漢方薬!どれを選べばいいの?
まずは、国がお墨付きを与えている気管支炎に有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「気管支炎」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の7種類の漢方薬を抽出しました。
では、誰もが基準となる漢方薬で、気管支炎が治るのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、気管支炎に悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
気管支炎だからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、気管支炎に至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。
不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
ここからは、気管支炎、特に慢性な症状に効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。
咳が長引いて病院に行くと、抗生物質が出てきます。しかし、それでもなかなか治らないこともあります。
咳などの気管支炎の症状は、気管の炎症が原因であることが確かです。風邪など菌が入っている場合は、抗生物質がよく効きますが、効かないでずるずる長引くケースも多いです。
その場合は、アレルギー?と疑うことも多いと思います。
一般的に、アレルギー現象としては、アレルギー性鼻炎や花粉症になったり、皮膚がかゆくなります。
また、風邪を引いた後は、免疫力が上がっています。するとアレルギー反応の感度も上がり症状が激しくなります。多少のアレルギーのある方が、強く反応し、その反応が気管に出ると、気管の炎症がなかなか引かない状況になります。
では、慢性の気管支炎を漢方では、どう治療していけばいいのでしょうか。アレルギー体質という大枠はありますが、次のとおり、3つの体質ごとの治療を変えていく必要があります。
どちらかというと、がっちりしているタイプに多いです。メタボリックシンドロームタイプともいえます。
余分な水が停滞していて、熱を持ちやすく、体の熱感が強い方です。このタイプで、咳が激しいときは次の漢方薬を使います。熱を取りながら、痰を出しやすくしてくれます。
気管が乾燥しているタイプです。
どちらかと言うと高齢者に多いタイプになります。空咳が多く出たり、痰が出ても少しで、奥にひっかっかている感じがします。皮膚や鼻も乾燥しやすい体質です。
このタイプには、次の漢方薬を使います。
緊張すると声が裏返ったりしませんか。
のどが緊張すると、気管も緊張します。その刺激によって、せきが出やすいならこのタイプです。煙や冷たい空気にもすぐに反応してしまいます。
もしそうなら、次の漢方薬がおススメです。
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、慢性の気管支炎だけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
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お悩みの症状に効く漢方薬を「無料」でお知らせ! |
詳しい内容を見たい時は、題名をクリックしてください。詳細ページに飛びます。
[湿痰 陽虚 気虚など]
苓甘姜味辛夏仁湯は、鼻水や痰を去り、呼吸を楽にして、風邪や気管支炎を改善します。
葛根湯加川辛夷は、肩こりや頭痛を緩和して、蓄膿症を改善します。
[気虚]
辛夷清肺湯は、鼻から副鼻腔など目の奥の方の炎症を鎮めて、鼻をすっきりさせて、頭の重さを改善します。
神秘湯は、アレルギーによる気管支の炎症を鎮める作用があります。肩の凝りや胸の緊張感などを弛める作用もあります。
[血虚 気滞]
神秘湯は、気滞を改善し気管の炎症を鎮めます。
清肺湯は、気管の潤しながら炎症を緩和し、咳や痰をとります。
慢性の気管支炎を漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
慢性の気管支炎でお悩みの方がなりがちな3つの証と、基本となる漢方薬を押さえておきましょう。
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書